ことろぐ。

渇いた日々の生活に一滴の潤いを。趣味に生きたい理系人間の気ままな記録…になる予定。

祇園祭ーー後祭も愉しいよ。

京都市が世界で最も魅力的な観光都市に選ばれました

京都が2年連続でアメリカの「Travel+Leisure」誌 読者投票によるベストシティランキング世界1位になったらしい。

というのとは全く関係なく京都が好き過ぎるので、前回のエントリーで予告した通り、今回は2014年に大きく変わった京都の祇園祭について書いてみようと思う。

情報量が多くなってしまったものの、いつものことながら内容は個人の備忘録の域を出ないので、これでもかと正確な情報をお求めの方はこの時期沢山発売されるであろう祇園祭特集が載った雑誌やガイドブック、公式サイトをご参照あれ。

祇園祭、何が変わったの?

2014年以降の祇園祭で大きく変わった点として、後祭の復興が挙げられる。
まずはここで少しお勉強。
後祭とは

まず、祇園祭は京都の八坂神社のお祭りである。その中の後祭(あとまつり)とは、「後の祭り」の語源にもなった由緒正しい行事で、本来、前祭(さきまつり)の7日後に実施されてきた。前祭の山鉾巡行が7月17日夕刻に行われる八坂神社の神幸祭に先立って町の邪気や穢れを清め、八坂神社の神様が四条の御旅所(おたびしょ;神様が乗った神輿が休憩・宿泊する場所)へ行くための道を作る目的で行われるのに対し、後祭の山鉾巡行は、7日間御旅所に居た神様が八坂神社へ帰るための道を作る目的で行われる。

1965年(昭和40年)まではそれぞれの山鉾巡行は7月17日と7月24日に行われていたが、1966年(昭和41年)に17日の巡行にまとめられて以来、本来後祭が行われてきた24日には花傘巡行が行われるようになった。前祭と後祭が1つにまとめられた理由は、交通規制が必要になること、費用がかさむこと、観光客から山鉾を一度に見たいという希望があったことなどがある…らしい。

それがなぜ今の形に戻ったのか。

それは「1000年以上続く祇園祭の本来の形を、正しく後世に残すため」だそうだ(他にも、1度の巡行にかかる時間を短縮する等の目的もあるようだが。KBSの中継時間内に全山鉾が四条河原町にも辿り着かないとか…ねぇ)。

去年(2014年)からだったのは、この年、大船鉾が150年ぶりに巡行に復帰することになり、この大船鉾が後祭の最後尾をつとめる山鉾であったこともあり、後祭復活の機運が高まったということである。ちなみに大船鉾は、1864年(元治元年)に蛤御門の変の大火(どんどん焼け)で鉾の木組みや車輪などを焼失して以来「休み山」(巡行に参加しない山鉾)となっていた。…幕末の話がついこの間のことみたいに聞こえる千年の都、パネェっす。

日程の変更

さて、この後祭の復活に伴い、山鉾巡行周辺の日程が大きく変わった(以下、大きな変更点のみ抜粋)。

<2013年まで>

7月10~14日 山鉾建

7月12~14日 曳き初め

7月14~16日 宵山

7月17日 山鉾巡行

7月24日 花傘巡行

 ↓

<2014年から>

7月10~14日 前祭山鉾建

7月12~14日 前祭曳き初め

7月14~16日 前祭宵山(18時~23時)

7月17日 前祭山鉾巡行

7月18~21日 後祭山鉾建

7月20~21日 後祭曳き初め

7月21~23日 後祭宵山(18時~23時)

7月24日 後祭山鉾巡行・花傘巡行

また、宵山の規模も縮小され、以前は四条通烏丸通で行われていた歩行者天国・露店は15、16日のみ四条通(八坂神社~堀川間)で行われることになった。

ちなみに、以前は16日に行われていた役行者山の護摩焚供養や南観音山のあばれ観音は、これらの山が後祭に巡行するため23日に変更となっている。

森見登美彦好きとしては
宵山万華鏡」に描かれたあの宵山はもう無いんだなぁと思うと少し寂しい。
上述の日程の通り、前祭の山鉾と後祭の山鉾が同時に京の街に存在することはもう無いのである。

後祭宵山の愉しみ方

さて、ここからが本題である。
前祭の愉しみ方は2年前のブログに書いた内容と大差ない。宵山には出店も出る(実は、新方式になってからまだ行ったことはないが…)。
問題は、後祭だ。公式のアナウンスにも
四条通歩行者天国は あ り ま せ ん 。露店の出店は 無 い 予定です。”
とある。
一体何を愉しめと…!?
と思いながら行った去年の宵山
結論から言うと、「一晩で全ての山鉾を回れる丁度良い規模だし、浴衣でも問題ない雰囲気だし、食べ物は露店以外で愉しめるし、人も多すぎないし、何の問題もなかった。むしろ快適。」
※ここから先は2014年の個人的なレビューとなります。今年も同じとは限らないのでご注意ください。
大船鉾

まず、後祭で外せないのは何といっても150年ぶりに復活した大船鉾だ。

宵山期間は、実際に鉾に上がることもできる(女性も可)。昨年は某ローカル局のお天気中継の最中に一緒に上る羽目になり、あまりちゃんと見られなかったので、今度またゆっくり見たい…。

ちなみに昨年大船鉾で購入した大船鉾限定のお菓子がこちらの「青海波」。

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山椒がぴりりと効いた調布(薄いどら焼きのような生地で求肥を包んだお菓子)はさっぱりとした甘さで、一人でひと箱完食よゆーです。というくらい美味しかったのでまた食べたい…。他にも、独特な形のうちわや限定のお酒など、グッズも充実していた。要するに、また大船鉾行きたい…。
「屏風祭」としての宵山
宵山は各山鉾の懸装品やその他の宝物を間近で見られるとまたとない贅沢な機会でもあるわけだが、これについては後祭でも以前と変わらず行われている。以前の日程でも、各山鉾町の路地は歩行者天国に指定されていた訳ではないので(山鉾が道を塞いでいるので実質歩行者天国みたいなものだが)、特に変わりなく見ることが可能だ。
特に後祭は山鉾が10基しかないので、昨年は1晩だけでも充分すべて見て回ることができた。全ての山鉾を一度に見たいという思いも勿論あるが、夏の京都のジメジメとした決して快適ではない夜に見て回るには、これくらいコンパクトなのも良いかもしれない。
粽授受の問題
これは今年の京都行の日程を考えるときに問題になったのだが、粽(ちまき)は一体いつ買えるのか?
ちなみに粽とは笹で出来たお守りで、祇園祭宵山に各山鉾で購入できる。祇園祭のちまきは食べられない、というのもすっかり浸透してきたようだが、実は黒主山では「食べられる粽」を売っているらしい。中身は生麩らしい。これなら大入道に口に突っ込まれても安心だ(©森見登美彦)。
話が逸れたが、この粽には1年間の御利益がある。ということは、翌年の祇園祭で新しいものを授けて貰わねばならない。
休日の都合上、今年は前祭と後祭の間にしか京都へ行かれない私は焦った。
今年は鯉山のご加護が受けられない…!
が、ご安心ください。以下、後祭の粽授与日になります。今年の情報が出ていないものについては去年のデータを記載。
 大船鉾 7月20日18時~ ※2014年情報
 鯉山 7月20日10時~
というわけで、山鉾建てや曳き初めが終われば、宵山前から授与してくださる山鉾もあるようだ。
…まあ、本当は後祭の山鉾って10基あるんですけど、ね。公式ホームページが無かったり、あっても更新されてなかったりするんで、ね。こういうの公式サイトでまとめてくれたら嬉しいなぁぁぁぁなんて、ね。
ちなみにこのデータを探すために色々サイトを巡っていたら、山鉾建ては専門業者に依頼しているという情報を入手。そうかーそうだよなーあんなの年に1回しかやらない素人が組んだら安全面の保証はできないよなーと一人で納得。
その他食べ物の問題
これ、大事だと思うのである。祇園祭宵山の愉しみの1つに食べ歩きを掲げている者としては、一番気になるポイントだったりするのである。
後祭の宵山では所謂「お祭りの露店」が出店しないとアナウンスされていたので、食べ物難民になるのではないかと密かに心配していたが、その心配は無用だった。
山鉾町にある飲食店の中には以前の宵山の頃と変わらず食べ歩きメニューを販売しているお店もあったし、京都市が新たに企画したエコ屋台村http://doyou-kyoto.com/event/?p=1211というものもあった。このエコ屋台村、個人的にはかなりおすすめである。変わり種の京都地ビールも飲めるし、通常店舗を構えている店の限定メニューや京都ならではの地産池消メニューも楽しめる。そして何より、露店よりは遥かに、お安い。今年はスイーツコーナーもあるらしい(昨年もあったかも知れないが記憶にない)。この企画はかなり愉しめたので、こうして褒めて褒めて今後も続けて欲しいなーと応援する次第である。

あとは天気だけ… 

最近は京都行きたい病も落ち着いていたのだが、この記事を書いていたらやっぱり我慢できなくなってきた。今年は7月の連休の日取りが悪く、連休には後祭の山鉾建てと曳き初めしか見られないが、それだけでも楽しみたいと思う。ので、どうか天気だけは良いことを願いたい。台風がいくつか近づいているけれども。

参考サイト