ことろぐ。

渇いた日々の生活に一滴の潤いを。趣味に生きたい理系人間の気ままな記録…になる予定。

復活:趣味のススメ。

「ブログ楽しみにしてます」と度々言っていただきながら、すっかり休眠状態になっていてごめん お面 ツタンカーメン。最近ジョイマン高木がテレビで復活していて嬉しい。

利用しているブログのサービスによってはサービス終了でネットの海の藻屑と化すところだった。

そんな中、アドベントカレンダーに声を掛けていただいた。久しぶりに筆を取る機会を与えて下さったあらBさん、ありがとうございます。

 

近況報告

突然だが、昨年4月に息子を産んだので、今年の3月末まで約1年間の育児休業をとっていた。

その辺も含めて、久しぶりにツラツラと自分語りをしたいと思う。

 

仕事がない間にあれもこれもやりたいと色々意識高いことを考えていたものの、結果から言うと、産後は寝不足やらホルモンバランスのせいやらで、頭を使うものにはまっっったく手をつけられなかった。

最近Twitter仕入れた情報(エビデンスなし)によると、産後の脳の働きは4年復活しなかったとか。恐ろしい。

子どもの頃母親をポンコツと思っていたが、もしかしたらアレは私や妹を産んだ後遺症だったのかもしれないと思うと申し訳ない。

実際、職場復帰した後の私のポンコツぶりも目も当てられない惨状で、師走の今も炎上真っ只中だが、少子化対策に多少は貢献したので大目に見て欲しい(これが悪名高い「子連れ様」ってやつかぁ)


そんなポンコツ産休中、「これをやった」とはっきり言えるのは趣味のボタニカルアートと手芸(刺繍、編み物、織り物)だった。


元々「何かを作る」ということが好きで、それだけは産後も手放したくないと考えていた。自分時間を手放したら間違いなく産後うつまっしぐらなのは目に見えていた。

産後2ヶ月くらいのタイミングで、同人女界隈に人気のクリエイティブ系に強い占い師さん(なかなか予約が取れない)の予約が奇跡的に取れたので占ってもらった。向いている創作の方向性を示して創作意欲を高めてくれると評判の占い師さんだ。

ざっくり要約すると、「子どもに何かしてあげる方向性で物作りを楽しむと良い」とのアドバイスをいただいた。

有難いことにTwitterではアルファツイッタラー()並みの人数に銃口を突きつけられ 監視され フォローいただいているので、あわよくばこれを使ってマネタイズ出来ないかと思い「育児系漫画とかは?」と聞いたところ、

「アレは『私の育児を見て!』という方向性なので、こっとさんには向かないです」(うろ覚え)

とバッサリ斬られた。

育児漫画でバズって一儲けする道は断たれたが、他人様に開陳できるような立派な育児はできていないのでこれで良かったと思う。

ちなみにそれでも未練がましく息子のキャラクター化などを試みたが、息子の愛くるしさをキャラクターに落とし込むことは存外難しく、今のところ一度描いたきりになっている。

自画像を描くときには
「もっと美化したい」
「リアルの知り合いが見たら噴飯物だからもっと現実に即した造形にしなくては」
と自我がせめぎ合うが、実の子どもはさらに難しかった。

話は戻るが、占いの結果も踏まえて、産休中のモノづくりは子ども無関係のボタニカルアートと子どもの服を作る手芸という方向に定まった。

 

今回は時期も12月ということで、編み物の話をしたいと思う。

 

編み物沼へようこそ

編み物歴はもう10年くらいになる。

確か、仕事で行き詰まった時期に「何も考えなくて良い没頭系の趣味」が欲しくなり、100均で毛糸と編針と入門書を揃えたのが始まりだった。

その後、100均よりは少し良いウール100%やアルパカの毛糸に手を出し、秋冬になると手編みのマフラーなる重たいものを作っては彼氏(現在の夫)に押しつける時期が続いた。

その後数年は編み物から遠ざかっていたが、編み物の指導者講習を受けた友人と買い物に行った際にステキな毛糸屋さんを教えてもらったことで、編み物ブームが再燃した。

あれからもう3年になる。

この5年間の間に、海外の編み図に手を出し、国内外の高級な毛糸に手を出し、「何も考えたくない」という理由で始めたはずの趣味はすっかりお金のかかる趣味と化してしまった。

何がそんなに私を沼に引き摺り込んだのか、少し考えてみたい。

 

・毛糸、きれい

「お空、きれい」みたいな言い方をしてしまったが、毛糸は綺麗だ。

色んな素材、色んなテクスチャー、色んな色。

インク沼もそうだが、「色とりどり」というのはそれだけで沼りやすい要素だと思う。

最近は手染め毛糸の作家なる方々もいて、人気の作家さんの毛糸ともなると、通販サイトに販売開始時間に張りついていても即完売で全く買えない。

最近は円安が酷いので躊躇しているが、海外の毛糸の通販もとても楽しい。


・私、編み方、チョットワカル

今ではすっかり編み物に夢中だが、高校時代の家庭科で編み物の課題が出た際には、授業はなんとなくやり過ごし、後日母親に編んでもらったマフラーを提出した記憶がある。当時は編み方が全くわからなかった。

だが、現代には動画という文明の利器(?)がある。YouTubeには、編む際の糸の掛け方から手の動きまで、編み物技術の詳細な解説動画が溢れている。

本の図だけではわからなかったことも、動画ならよくわかる。動画で説明されるのはあまり得意ではないが、こういうときは動画があって良かった。

 

・編み図、オシャレ、すぐ手に入る

手編み=ダサいというイメージはないだろうか?

これはとてもよくワカル。めーーーーっちゃワカル。先日も近所の手芸用品店に行って、展示されていた完成品のダサさに眩暈がした。

子ども用ベストのダサい透かし編みデザイン、「女の子ならピンクだよね☆彡」と言わんばかりのなんとも言えないダサピンク。それが蛍光灯の光に照らされて更なるダサさにつながっている。

ねぇ、なんでこんなにダサいの!?

私が最初に手にした100均の編み物入門書に載っているデザインがダサいのはまだわかる、100円だし。でも手芸用品店に売っているのは、1着分3000〜5000円くらいするキットだ。

手間とお金をかけてこのダサいものを作るのか?

少なくとも私の答えはNOだ。

では私はどこで編み図(編み物の設計書的なもの)を手に入れているかというと、世界最大の編み物SNS・Raverly(ラベリー)である。

 

Ravelryとはなんぞや。

サイトには以下の記載がある。


Ravelryは棒編みをする人、かぎ針編みをする人、紡ぎ手、織り手、そして染め手がのための包括的でフレンドリーなウェブサイトです。私たちは、世界中の何百万人もの毛糸を愛する人たちで構成されています。Ravelryは、毛糸愛好家が自分のプロジェクト、糸や繊維、道具、編み図のライブラリを記録するための個人のノートブック、編み図や糸の豊富なデータベース、そして何千ものフォーラムやグループを持つコミュニティで、思いつく限りの興味で他のRavelerたちとつながることができるのです。

https://www.ravelry.com/

 

あまりにニッチだが、編み物界のpixivみたいなのと思ってもらうとわかりやすいかもしれない。

作例から毛糸を検索したり、逆に毛糸から作例を検索したり、その毛糸を売っている店舗を検索したりできる。

さらに、個人や企業が作った編み図PDFの購入もできる。ということで、私は専らここで舶来モノの「ダサくない」編み図を探している。

 

海外の編み図と日本の編み図

当然Raverlyは海外サイトなので、大抵の編み図は英語で書かれている。

使われている用語に慣れるまでは少し苦労したが、慣れてしまえばそんなに難しくはない、と私は思っている。

…と、断定形で書けないのは、海外仕様の編み図は日本のものと大きく異なるからである。どうやらそれを知らないらしい人から、Amazonで海外編み図の翻訳本に地獄のような星1のレビュー(説明文がとても編めるシロモノではない、云々)がついているのを見たことがある。

日本の編み図はまさに「設計図」という感じで、どの目をどの編み方で編むか一目ずつ描かれた図になっていることが多い。

 
日本の編み図の例

一方、海外の編み図は図というより文章で示されていることが多い。「表目で2目、裏目で2目、これを繰り返して段の最後まで編み、同じ編み方を5cmの長さになるまで繰り返す」といった感じだ。

作業に必要な「数」が明確にわかるので、私はどちらかというと文章で書かれたもののほうが好きだ。好みの問題ではあるが、海外編み図を知らなければ私はここまで編み物にハマることはなかったと思う。


そして何より、見出しにも書いた通り、Ravelry(や、その他最近の編み物作家の個人サイト)では海外のセンスのいい編み図のPDFが欲しいときに(深夜でも)すぐ手に入る。これは大きい。ますます沼が捗ってしまう。


・ながら作業、万歳

編み物の魅力の最後に挙げるのは、ながら作業が捗るという点である。

このサブスク時代、見たい動画は無限にあるが時間が足りない。編みたい毛糸や編み図も山ほどある(クローゼットからはみ出した毛糸の山から目を背けながら)

そんな中、編み物は手が塞がらない限り他の作業をしながらでも出来るのである…!特に文章で書かれた海外編み図は、指示さえ頭に入っていればいちいち編み図を参照する必要もない。多分放置ゲーとも相性がいい。

 

沼の成果

さて、そんなこんなで昨年は子どものためのニットを3枚ほど編んだ。

大人のセーターは毎日編んでも私の手では1ヶ月以上かかるのだが、ベビーサイズは頑張れば2週間以内に完成するのが良いところだ。

しかも、懇意にしている毛糸屋のお姉さま(息子が2人いる)のアドバイスに従うと「男の子は暑がりだから長袖セーターよりベストの方がいい」とのことなので、袖がない分早く仕上がる。

これはお気に入りのベスト「海老ピラフ」。

「海老ピラフ」

編み地のカラフルなスペックルが海老ピラフのようだと言って、妹が作ってくれた小海老のボタンがアクセントになっている。

小海老のボタン

しかし残念ながら、今年はもう着られない。0歳→1歳の成長を舐めていた。

今年はちょっと頑張って自分のセーターも編んでいる。

 

最後に

これを読んで編み物に興味が出てきたかと言ったら、そんなことはないという人が多いとは思うが、とりあえず、「おばあちゃんの趣味」的なイメージとは違う世界もあるのね、と思って貰えたらと思う。

ちなみに編み物、意外と理系…というか数学の世界でもある。その辺りは数学アレルギーの私よりも、佐倉編物研究所の伊藤氏のコラムをどうぞ。伊藤氏は修士(理学)のガチガチの理系だそうだ。

 

イトウ氏の数学的編み物