ことろぐ。

渇いた日々の生活に一滴の潤いを。趣味に生きたい理系人間の気ままな記録…になる予定。

「聖なる怠け者の冒険」の冒険。

先日、森見登美彦氏の2年半ぶりの新刊である「聖なる怠け者の冒険」が発売された。

森見登美彦といえば、最近では一部で「大二病患者は村上春樹森見登美彦が好き」などと引き合いにも出される作家だが、「ぷwww大二病かよwwwww」と言われるのを承知で言おう、私は森見登美彦氏の本で人生を変えられてしまった人間の1人である(その簡単な昔話は以前のエントリーにて)。

 

それはさておき、2年半ぶりの新刊も舞台は京都である。

ネタバレにならない程度に中身を紹介しておく。

主人公は腐れ大学生ではないが、京都の片隅(向島)にある某化学工業企業にて研究員として勤めるごく平凡な理系社畜2年目の小和田くん(25、6歳)である。小和田くんは小冒険を愛する怠け者である。平日は独身寮の一室で缶ビールを飲みながら「将来お嫁さんを持ったら実現したいことリスト」を念入りに改訂して夜更かしし、休日を守り怠けるためなら何でもすると言いきる。「いまだかつて、これほどまで動かない主人公がいただろうか」とは帯に書かれた文句だが、これほどまでに動かない主人公でスケールの大きい物語を繰り広げる辺り、2年半経っても森見ワールドが変わらないことに安心感を覚える。

物語は、京都三大祭の1つである祇園祭宵山が行われる土曜日(7/16)の朝から深夜までの1日に起こった出来事で構成されている。その出来事は、小和田くんにとっては悲しいかな、小さな大冒険である。小和田くんは怠けているだけだが。

ちなみに森見氏は以前にも「宵山万華鏡」で宵山を舞台にした物語を書いているが、一部作品がリンクする箇所もある。他にも森見ファンとして嬉しい仕掛けとしては、「太陽の塔」「四畳半神話大系」「四畳半王国見聞録」で散々登場した下鴨幽水荘は今作でも健在であり、樋口師匠と思しき人物の記述もある。四条烏丸の交差点で三日三晩寝転がっていると天狗になれるそうな。

ま、詳しくは読んでみて下さい。

 

さて、この愛する森見氏の新作を読み、私の中にむくむくと湧き上がる欲望があった。

この作品の舞台を地図に記したい…

ということで、作ってみました。「聖なる怠け者の冒険」の冒険の書

しかし作ってみたら完全にネタバレになってしまったので、未読の方はまずは地図など見ないで読むことをオススメします。

それでは、地図は「続きを読む」からどうぞ。(追記:モバイル版ではこの機能がないらしい…?)

 

 

 

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「北白川ラジウム温泉」「瓜生山」「下鴨幽水荘」「向島」を地図に入れようとすると大変なスケールになってしまうので、今回は市街地のみの地図を作成した。

宵山ということで本当はもっと山鉾が沢山出ているのだが、今回は作中で目についたもののみ載せてみた。もし間違っているところがあればご指摘いただければ幸いです。

しかし…思ったよりも大冒険の繰り広げられている地域が狭かったので驚いた。京都市内が元々狭いというのもあるが、特に六角通と室町通の交差する辺りとか…。これは…完全に、玉川さんの方向音痴に撹乱されている。

こういうのも叙述トリックというのだろうか…。

追記2:はてブロの制約上(?)、解像度が低く申し訳ないです…元画像はPDFで作っているので、ちょっと改善の余地あり。